SPLIT ENZ 特別編

愛すべき SPLIT ENZ を支えた3人へ

SPLIT ENZを語る時、どうしてもTim FinnNeil Finn、つまりFinn兄弟の才能に話が集まりやすい。

それは当然だと思う。
ソングライターとしての二人は、やはり特別だった。

でも、ENZを本当の意味でENZにしていたのは、私はむしろその周囲を支えていた3人――
Eddie Rayner、Nigel Griggs、Noel Crombie の存在だったと思っている。

Eddieがいなければ、あの知的で変態的で美しいENZの和声は生まれなかった。
Nigelがいなければ、あのクセの強すぎる集団はバンドとして成立しなかった。
Noelがいなければ、ENZはただの変わったロックバンドで終わっていた。

この3人は、表で支配するタイプではない。
でも、彼らがいなくなった瞬間、ENZという世界そのものが崩れてしまう。

それほど大きな存在だった。

私は、愛すべきSPLIT ENZを支え続けたこの3人に、最大級の敬意を表したい。

だからこそ、ENZの解散を考える時、私はいつも彼らの気持ちを考えてしまう。

もちろん本人たちが全部を言葉にしているわけじゃない。
だから以下は、事実やインタビュー、そしてバンドの空気から私なりに読み取ったものだ。

結論から言うと、3人はそれぞれ少し違う形で、ENZの終わりを受け止めていた気がする。


Eddie Rayner — 終わるのは分かっていた。でも、簡単には受け入れられなかった

Eddieは、たぶん一番複雑だったと思う。

ENZの音楽的骨格を作った人の一人だからだ。

初期の狂気。
変拍子。
クラシカルなコード。

あの“ENZでしかない感じ”のかなりの部分は、Eddieの鍵盤から来ている。

特にTim/Phil → Tim時代のENZは、Timの演劇性とEddieの知性がぶつかって生まれていた。

そこへPhilが抜けた後、Neilが入って、バンドはよりポップになった。

売れた。
でも同時に、ENZは少しずつ
“Eddie的なバンド”から離れていった

Eddieは後年、Neilの才能を高く評価しつつも、
終盤には少し疎外感もあったように見える。

Neilの曲は素晴らしい。
でも、それは時々

「もうENZの次に進んでいる」

ようにも聴こえた。

つまり、CROWDED HOUSE(CH)の始まりだ。

Eddieからすれば、

「これはもうENZじゃないのかもしれない」

そんな感覚があったんじゃないか。

でも彼はプロだから壊さない。

表に出さない。

ただ内心では、

寂しかった。
悔しかった。
でも、止められない。

そんな気持ちだった気がする。

もうENZの次に進んでいる
楽天 / Amazon / Yahoo / メルカリ


Nigel Griggs — 家族みたいなバンドが終わる喪失

Nigelは、音楽理論よりも
バンドの潤滑油だった印象が強い。

ベーシストとして素晴らしいのはもちろんだが、それだけじゃない。

Timの強烈さ。
Eddieの知性。
Neilの繊細さ。
Noelのアート性。

長期間在席していたメンバーは、全員クセが強い。笑

その中でNigelだけは、妙に地に足がついていた。

だからこそ、解散は辛かったと思う。

たぶんNigelは、
音楽性の違い以上に

人間関係が戻らなくなること

に悲しみを感じていたんじゃないか。

バンドって長くやると家族みたいになる。

でも家族より厄介でもある。

愛情もある。
摩擦もある。

Nigelはその全部を見ていた。

だから解散時は、

「仕方ない……でも残念だ」

という、すごく現実的な受け止め方だった気がする。

派手に怒らない。
でも静かに傷つく。

そんな人に見える。


Noel Crombie — ENZという世界そのものを失った

Noelは少し特別だ。

ドラマーであり、
パーカッショニストであり、
衣装・ビジュアル・アート担当でもあった。

つまりNoelにとってENZは、

総合芸術作品

だった。

あのスプーン。
あの衣装。
あの奇妙なステージ。

全部Noelの世界でもある。

だから解散は、曲が終わる以上の意味を持っていたと思う。

音。
色。
動き。
ユーモア。
狂気。

全部込みでENZだった。

それが終わる。

これは相当辛い。

でもNoelって、表面上はすごくユーモラスなんだよね。

だから本音を全部見せない。

笑っていても、内側ではかなり寂しかったと思う。

特にNeil主導でポップバンド方向へ進んだ終盤、

Noelはきっと感じていたはずだ。

「ENZの奇妙さが薄れていく」

それは彼にとって、小さくない喪失だったと思う。


3人に共通していたもの

でも、3人に共通していたものもあると思う。

それは、

Neilを止めるべきではない

という感覚だ。

これは大きい。

みんな分かっていたんじゃないかな。

Neil Finnは止まらない。

そして、彼が向かっている先には新しい音楽がある。

CHが見えていた。

たぶん全員どこかで感じていた。

「Neilは次へ行く」
「そして、その次はたぶん大きい」

だから、引き止めるより見送った。

そこに少し兄貴っぽさも感じる。

特にEddieとNoelは、若いNeilが成長していく姿を最初から見ていたから。


おじさんギタリストとして思うこと

私は1986年にCHから入って、あとからENZを遡った人間だ。

だからこそ逆に見えるものがある。

CHを知っている耳でENZ後期を聴くと、

Eddieの鍵盤には
「ENZを終わらせたくない音」があり、

Nigelのベースには
「最後までバンドを支える意志」があり、

Noelのスプーンには
「ENZらしさを失わせたくない遊び心」がある。

そしてNeilには、

もう次が見えている。

そこが切ない。

解散って、仲が悪くなったからだけじゃない。

時々、

同じ方向を見られなくなった時に起きる。

ENZの解散は、まさにそれだった気がする。

だから悲しい。

でも、美しい終わり方でもあった。

そして、その先にCHがあった。

Neilは進んだ。
でも、ENZがなければCHは生まれなかった。

それだけは間違いない。

  • #CrowdedHouse

  • #NeilFinn

  • #SplitEnz

  • #TimFinn

  • #NigelGriggs

  • #EddieRayner

  • #NoelCrombie

  • #EnzFAM

  • #FinnBros


  • #特別編

    紹介した音源・CDを探す

    ※この欄にはアフィリエイトリンクが含まれます。価格・在庫はリンク先でご確認ください。

    このサイトを応援する

    SouthWindMusicは個人で運営しています。 サイト運営維持のため、ご支援いただけると嬉しいです。

    PayPalで応援する

    ※金額は自由にご入力いただけます

    コメントする