🎸おじさんギタリストシリーズ ⑨ 機材に青春を吸われる編
おじさんギタリスト、新しい機材と戦う。
ギター歴だけなら、それなりに長い。
アンプのEQも、ピッキングの角度も、だいたい分かってる。
でも2020年代にもなると、俺たちおじさんギタリストの前には
まったく新しい敵 が現れる。
そう。
最新の機材だ。
AI搭載エフェクター、Bluetoothアンプ、
スマホで音色を管理するアプリ……。
正直に言う。
説明書の文字が小さすぎる。
■① まず電源がどこにあるのか分からない
昔:
「スイッチ入れる → 音出る」
今:
「アプリと同期 → Wi-Fiを設定 → ファームウェア更新 → 再起動 → やっと音出る」
音が出た頃には、
もう弾く気力の半分くらいは消えてる。
謎の達成感だけが残る。
■② スマホ連携型エフェクター、もう“魔道書”
若い子が言う。
「プリセット飛ばしときますね〜」
飛ばすってなんや。
データをゴミ箱に投げることか?
スマホ画面を見ると、
「クラウド同期」とか「AI推奨EQ」とか
知らない単語が大量に並んでいる。
そんな中で、
おじさんが最初にタップするのは決まって、
“戻る”ボタン。
■③ Bluetooth接続が切れると、心も切れる
Bluetoothアンプ。
若者に聞くと「便利ですよ!」と言う。
だが、ライブ前の緊張してるおじさんにとってBluetoothは、
結婚式の友人スピーチの原稿くらい信用できない。
突然切れる。
繋がらない。
気づけば自分の心も切れている。
■④ AIが自動で音作りしてくれるけど、信用はしていない
最近の機材は
「AIがあなたの演奏に合う音色を作りました!」
とか言ってくる。
ありがとう、AIさん。
でもな…
俺の青春時代の音は、AIには分からんのよ。
BOØWYも、ZIGGYも、ヒルビリーバップスも、Crowded Houseも、
人生が染みてるんだ。
AIに「これがあなたにおすすめの音です」って言われると、
なんか美容師さんに
「この髪型が似合いますよ」って言われた時の気持ちになる。
ありがたいけど、ちょっと違う。
■⑤ 結局、“いつもの歪み”に戻る
2時間かけて新機材をセットし、
プリセットをいじりまくり、
Bluetoothが切れ、
アプリが固まり、
もう一度つなぎ直し、
説明書を読み、
スマホを充電し…
そのあとで最終的に使うのは、
昔からある歪みペダルひとつ。
もう名前が“相棒”でもいい。
■⑥ でも、新しい機材を買うのはやめない
おじさんギタリストの不思議なところはここだ。
どれだけ設定に苦労しても、
どれだけ同期で泣いても、
どれだけBluetoothが裏切っても、
新しい機材を見るとワクワクする。
昔買えなかった物が、
今なら少しだけ買えるようになっている。
だから大変でも、面倒でも、
挑戦してしまう。
これがロックだ。
■まとめ
新しい機材は難しい。
でも、難しいからこそ、
おじさんギタリストにとっては“青春の延長”みたいなものだ。
泣いて、笑って、体がついてこなくて、
今度は機材がついてこない。
だけど、
スイッチが入って、
やっと音が鳴った瞬間に思う。
「ああ、まだ俺はギターが好きだ」
それだけで十分だ。
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