🎸 おじさんギタリストシリーズ ㉞ チューニング地獄 編

“合ってるはずが絶対に合わない日”


■ チューナーは合っているのに、耳が「違う」と言う

ギタリストには、ときどき訪れる。

「チューナーはOKを出してるのに、心はNOと言い続ける日」

画面は緑。
数字は合ってる。
理論上は完璧。

なのに——
弾くと 「なんか違う!」

おじさんギタリストは、そっと空を見上げる。

「今日は……俺の耳、自由行動か?」

誰も答えてはくれない。


■ 4弦だけ反抗期になる

こういう日に限って、4弦だけがやたら反抗してくる。

合わせても
なだめても
叩いても(叩くな)
褒めても
深呼吸しても

4弦「いや、今日はそういう感じじゃないんで。」

みたいな顔をしている。

おじさんギタリスト、心の声を漏らす。

「お願いだから協力して……俺も必死なんだ。」


■ いつの間にか半音下げに落ちてる事件

地獄は続く。

気づけば、
「あれ?……これ半音下げ?」
という状態になっている。

本人は触ってないと言い張るのに、
なぜか弦のテンションが若干だるい。

誰が下げた?
いつ下がった?
何が起きた?

答えは簡単。

“ギターの気分”である。

ギターは生き物なので、たまに勝手に世界線を変える。


■ ライブ直前に沼る“狂気の微調整タイム”

そして本番前。

ステージ袖でチューニングを合わせる。
……はずが、永遠に終わらない。

回す
戻す
微調整する
また戻す
触らない
でも触る
そっと回す
やっぱ違う
地獄

隣のメンバーは普通に準備している。
その落ち着きが逆にプレッシャー。

おじさんギタリストは悟る。

「ここでベストを出そうとするほど、底なし沼にはまる。」


■ 結局、原因は“その日の心”だった

不思議なことに——

家に帰って落ち着いて弾くと、
あの時の“違和感”がウソみたいに消える。

チューナー:正常
耳:正常
4弦:協調性アリ
ライブ前の沼:幻だったのでは?

そして気づく。

「あぁ……あの日ズレてたのは、ギターじゃなくて“俺の心のチューニング”だったんだな。」

ピッチより、気持ちが揺れていたのだ。


■まとめ:チューニングは“技術”ではなく“心の整え方”

チューニング地獄の日は、誰にでもある。

・合ってるのに合わない
・4弦が反抗する
・気づけば別チューニング
・ライブ前に迷宮入り
・原因は大体メンタル

でも、そのズレを経験した分だけ、
翌日の音は落ち着く。

おじさんギタリストは今日も思う。

「チューニングは、音より先に“自分”を合わせる儀式なんだよな。」

そして明日もまた、4弦が反抗する。

それすらも、ちょっと愛しい。

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