🎵『Middle of Nowhere』 ELLEGARDEN(2004)

Words & Music: 細見武士(Takeshi Hosomi)
Album: Pepperoni Quattro(2004)
Label: DYNAMORD RECORDS

あ、日本人がここまで来たんだ
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2000年に入ってから、
おじさんギタリストの耳と心を最も強く引きつけていたのが、
細美武士がいた”ELLEGARDEN”だった。

■ この曲を聴いた瞬間、電撃が走った

正直に言う。

初めてこの曲を聴いたとき、
「あ、日本人がここまで来たんだ」と思った。

英語が上手い、とか。
発音がいい、とか。
そういう話じゃない(それもあるが…)

思考の運び方が、完全にネイティブのそれだった。

しかも、
薄っぺらくない。
借り物じゃない。
ちゃんと“考え抜かれた英語”。

同世代の細美武士という
書き手を知っている私ととしては、
この曲は
驚きというより、
覚悟を見せつけられた感覚に近かった。


■ 全歌詞・和訳と読み解き


Lessons once learned are so hard to forget
Though they are simply papering over the cracks

一度学んでしまったことは、簡単には忘れられない
それがただヒビを紙で覆っているだけだとしても

最初の2行で、
もう逃げ道がない。

「学び」は必ずしも救いじゃない。
見て見ぬふりを
上手くする技術かもしれない。


You have been creating something
I have never had before

君は、何かを作り続けてきた
僕が一度も持ったことのないものを

ここ、
嫉妬でもあり、
尊敬でもある。

自分にないものを
ちゃんと「ない」と言える強さ。


But can you deny that
You are at middle of nowhere

でも、否定できる?
君はいま行き場のない場所の真ん中にいるってことを

“Middle of nowhere”。
目的地じゃない。
スタート地点でもない。

一番、不安な場所。


Do you think about your dream
When you are falling down

落ちていくとき
君は、自分の夢のことを考える?

きれいごとじゃない。
夢は、調子がいい時には語れる。
落ちている時に考えられるかどうか。

そこを、細美は問う。


I can help you smile bravely
If you have something you really want

本当に欲しいものがあるなら
僕は、君が勇敢に笑う手助けができる

「助ける」と言わない。
「代わりに戦う」とも言わない。

“笑う”ことを支える。
この距離感が、ELLEGARDENだ。


Do you think about your dream
When no one believes you

誰も信じてくれない時
それでも、夢のことを考える?

ここで、
問いはさらに深くなる。

孤独の中で残るものが、
本音だ。


I can help you spread your wings
僕は、君が翼を広げる手助けができる

羽ばたかせるのは、君自身。
あくまで、手助け。


Though you claim
You’re not anyone
Anyone like me

君は言う
自分は誰でもない
僕みたいな人間じゃない、と

この“me”が重い。

歌っている側も、
完全に自信があるわけじゃない。


Are you scared
Are you scared of me
怖い?
僕が怖い?

支配じゃない。
でも、影響は与えてしまう。

その自覚がある書き方。


You’re not crazy
You’re not unreal
You’re just complicated

君は狂ってない
現実離れもしていない
ただ、複雑なだけだ

この3行、
何人の人が救われただろう。


Think about your situation
Understand your refusal

自分の状況を考えて
拒否してきた理由を理解して


Disagreement disappointment
Disapproval discontent

不一致、失望
否定、不満


Your conviction your stubbornness
Your emotion your confusion

君の信念、君の頑固さ
君の感情、君の混乱

感情を、
良い/悪いで分けない。

全部、並べる。


I won’t deny you
I won’t ignore you

僕は君を否定しない
無視もしない


Do you hear me as I sing here
ここで歌っている僕の声は、君に届いている?

最後まで、
押しつけない。

届いているかどうかは、相手に委ねる。


■ ギタリストとして、この曲を聴く

ギターは、
派手じゃない。
速弾きもしない。

でも、
一切、嘘をついていない音だ。

コードの選び方も、
リズムの置き方も、
歌のためだけにある。

若い頃は
「もっと弾けるだろ」と思った。

今は、
「これ以上、何を足すんだ」と思う。

……完全に負けを認めている。


■ まとめないけど、正直な話

この曲は、
英語詞がすごい、だけじゃない。

“どこにも辿り着いていない時間”を
肯定も否定もせずに描いたこと

それが、一番すごい。

細美武士を知る者として、
この曲は、
胸を張るというより、
自然と姿勢を正させられる。

おじさんギタリストとしては、
こういう曲に出会うと
ギターケースを閉めて
少し黙るしかない。

それくらい、
真っ直ぐで、
厄介で、
誠実な一曲だ。

Pepperoni Quattro(2004)

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