🎶『In the House of Stone and Light』 Martin Page (1994)

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🎶『In the House of Stone and Light』 Martin Page (1994)

In the House of Stone and Light — Martin Page(マーティン・ページ)
作詞・作曲:Martin Page 
編曲・プロデュース:Martin Page 
レーベル:Mercury Records

“石と光の家”へ向かう旅路

1994年にリリースされたマーティン・ページのデビュー・ソロアルバム『In the House of Stone and Light』のタイトル曲として登場したこの歌は、ポップ/ソフトロックの枠を超えて、スピリチュアルな旅路を暗示する静かな名作といえる。

冒頭から〈And to love a God, and to fear a flame/And to burn a crowd that has a name〉という詩が響く。神を愛し、炎を恐れ、名のある群衆を燃やす――この重層的なイメージは、単なる恋愛や日常から一歩踏み出し、「存在」「信仰」「変容」といった大きなテーマへと視線を向けさせる。

ページ自身が、この曲のイントロで参照している「石と光の家(House of Stone and Light)」という言葉について、アメリカ先住民族ハヴァスパイ族(Havasupai)がグランドキャニオンをそう呼んでいたという背景を明かしている。その語源をたどれば、この曲は「自然/宇宙の大いなる構図」と「人間の内面の旅」を掛け合わせた詩的な世界観を持っていることがわかる。

音の構成もまた、その世界観を補強する。マーティン・ページ自身がボーカル、ベース、キーボード、ギター、プログラミングまで手がけており、彼のクリエイターとしてのパーソナルな痕跡が鮮明だ。柔らかな鍵盤から始まり、徐々にギターの音が厚みを増し、コーラスが重なってゆくその流れは、「旅立ち」から「覚醒」へと向かうような設計だ。

歌詞における印象的なフレーズ〈It’s the sun that burns, it’s the wheel that turns / It’s the way we sing that makes ’em dream〉は、自然の力=太陽と時間の輪=車輪、そして「歌うという行為」が夢を紡ぐというメタな視点を含んでいる。人間は歌い、夢を見るためにあるのだという、ある種の宣誓めいたトーンがここにはある。

さらに、終盤に繰り返される「House of stone and light」という言葉の響きには、私たちが目に見える世界(石)と見えない世界(光)を同時に生きているという自覚を促す力がある。そしてこの曲は、聴く者をただ受け身にさせるのではなく、自身の「家」「居場所」「魂の住みか」を問い直させる。

1990年代のポップ/成人向けヒットチャートの中で、この曲が全米アダルト・コンテンポラリー・チャートで首位を獲ったという事実もその普遍性を示している。だがそれ以上に、時代の消費的ポップとは一線を画し、「深みを持つポップソング」として、いまなお聴き継がれている所以はここにある。

聴き終わった後に残るのは、華やかなサウンド以上に「旅を終えて壁の前に立った時の静けさ」である。自分自身と、世界と、時間と対話したいと願う人にこそ、この曲はそっと差し出されたハンドレターのように届く。

マーティン・ページがその声で放った「石と光の家」への召喚を、どうかあなた自身の呼吸で受け止めてほしい。そして、その響きがあなたの旅の一歩となることを願う。

In the House of Stone and Light (1994)

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