🎵『ブレイントリップ A-Go-Go』ヒルビリー・バップス  (1987)

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🎵『ブレイントリップ A-Go-Go』ヒルビリー・バップス  (1987)

ブレイントリップ A-Go-Go – ヒルビリー・バップス

(シングル『僕たちのピリオド』B面/1987年5月25日発売)
作詞:宮城宗典
作曲:樋口雅紀
発売:キティレコード(7 inch・シングル)

ブレイントリップ A-Go-Go
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■ ロカビリー・サウンドに“脳裏の旅”への誘い

「ブレイントリップ A-Go-Go」は、1980年代後半のヒルビリー・バップスが放った、ロカビリー/ロックンロールのエッセンスを色濃く帯びた一曲である。
タイトルの“ブレイントリップ(Braintrip)”が示す通り、日常や現実から少し跳び出して、“頭の中の旅”へと誘うモチーフが鍵となっている。

このタイトルには、ボーカルの宮城宗典自身の体験が深く関係している。
彼が東京上野の博物館で恋人とデートをした際、展示物を眺めながら
「人間の想像力や歴史が生み出す空間の面白さ」を感じ、その印象をもとに書き下ろした詞だという。
展示された恐竜の化石や古代の遺物、未来的な展示――それらが「過去と未来を行き来するような感覚」を呼び起こし、それが“脳内旅行=ブレイントリップ”というタイトルにつながった。
つまりこの曲は、恋の記憶と博物館という空間体験が融合して生まれた“感覚の旅の記録”でもある。


■ 音楽的特徴

サウンドはロカビリー&ポップスの融合、ギター平野哲也のアルペジオ、
小西竜太郎のスナッピーなドラム、川上剛の小気味よいベースラインを軸に構成されているが、80年代後半の録音らしく透明感のある音像が特徴的だ。
樋口雅紀による作曲は、ロカビリーの勢いに彼のサックスのフレーズを織り込み、バンドの持つ“お祭り的スピード感”と“アート的遊び心”を同時に成立させている。

冒頭の「Science Museum, Science Museum!」というフレーズが象徴的で、まるで展示室を駆け抜けるような高揚感をそのままサウンドに落とし込んでいる。
全体としては、ロックンロールの衝動を“遊び心”で包み込んだような軽やかさがあり、同時に演奏の完成度も極めて高い。


■ 遊びながら飛ぶ、不確かな旅

歌詞には「トリケラトプスにまたがりお前とドライブするのさ」「見つけてあげるよアンモナイト」といった奇想天外なイメージが並び立つ。
これらは宮城が博物館で感じた“時間と空間の跳躍”をロックンロール的言語に置き換えたものであり、恋と冒険、現実と幻想が交差する世界を作り出している。

さらに「憶えているかい あの海辺のパーキングエリアで Kissした夜を」という一節が挟まることで、楽曲は単なるファンタジーではなく、どこか切ない現実の記憶にも触れる。
“過去の恋を未来的幻想に溶かし込む”──この感覚が「ブレイントリップ」というタイトルの真意だろう。


■ ヒルビリー・バップスとして

ヒルビリー・バップスは、ロカビリーや50’sスタイルをルーツに持ちながら、80年代後半のニューウェイブ的な感性を加えた独自の存在だった。
「ブレイントリップ A-Go-Go」はその両面を最も鮮やかに示す作品であり、バンドが単なる“懐古ロック”ではなく、“現代的にアップデートされたロックンロール”を志向していたことがうかがえる。

1987年当時、音楽シーンには過去のスタイルを再構築する動きが見られたが、ヒルビリー・バップスはそこに明確なユーモアと美意識を加えた。
「ブレイントリップ」はまさにその象徴的な楽曲である。


■ 総評

「ブレイントリップ A-Go-Go」は、宮城宗典の感性を通じて描かれた“小さな夢と知的好奇心のロックンロール”だ。
博物館という“静かな場所”で感じた興奮を、バンドのエネルギーで“走り出す音”へと変換した――その距離感の面白さがこの曲の魅力である。

聴くたびに、夜のドライブの景色や、少年時代に胸を高鳴らせた展示室の光景が浮かび上がる。
それは単なる懐かしさではなく、「まだ旅が続いている」という予感。
ヒルビリー・バップスが残したこの“脳内のロードムービー”は、今もリスナーの想像力を走らせ続けている。


収録情報:

  • シングル:ブレイントリップ A-Go-Go(キティレコード/7″シングル、1987年5月25日)

  • 作詞:宮城宗典

  • 作曲:樋口雅紀

  • メンバー(当時):
     宮城宗典(Vo)/川上剛(B, Vo)/平野哲也(G, Vo)/樋口雅紀(Sax, Vo)/小西竜太郎(Dr, Vo)

僕たちのピリオド (1987)

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