Everyday Is a Winding Road – Sheryl Crow (1996)
収録: アルバム Sheryl Crow (1996)(セルフタイトルの2ndアルバム)
作詞・作曲: Sheryl Crow, Jeff Trott, Brian MacLeod
Produced by: Sheryl Crow
Label: A&M Records
■ “この道”はただの通り道じゃない 人生の曲がり角を歌ったロードソング
「Everyday Is a Winding Road」は、Sheryl Crow のキャリアの中でも特に印象的な一曲。
その響きは、むしろ“人生の旅”そのもの。
サビの
“Everyday is a winding road / I get a little bit closer”
(毎日がくねくね曲がる道/少しずつ近づいていく)
という言葉が、その核を体現している。
人生は一直線じゃない。
迷いもあれば、停滞もある。
だけど少しずつ、自分の場所、前に進む感覚に──
そんな希望と不安の狭間が、この曲にはある。
Sheryl の声は透明で、でもどこか湿度を帯びている。
ギター、ハモンドオルガン、ベース、ドラムが静かにうねり、
“風を切って走る”ような軽やかさと、“見えない先への問い”を同時に運んできてくれる。
――初めて聴いたとき、ラジオのスピーカーからこの曲が流れてきて、
「なんて優しい歌なのだろう」と、胸が軽く震えた。
それは “今” を生きる人すべてに共有できる感覚だ。
■ 歌詞の断片
以下、歌詞の断片を和訳とともに見ながら、この曲の世界を旅してみよう。
“I hitched a ride with a vending machine repair man / He said he’s been down this road more than twice”
自販機の修理屋に便乗させてもらったの/彼は言う、この道はもう何度も通ったと
若くもなく、ベテランでもなく、
“ただ道を知ってる人” に身を任せる。
人生という道は、その人にとっては何度も通った“慣れた道”かもしれない。
でも私にとっては、まだ未知と可能性で満ちている。
“Jump in, let’s go / Lay back, enjoy the show / Everybody gets high, everybody gets low / These are the days when anything goes”
さあ乗り込んで さあ出発しよう/身を任せて、ショーを楽しんで
上がる日もあれば、下がる日もある/何でも起こる、そんな日々だから
予測できない揺れ。
だけどそれが “人生らしさ”。
高揚と失望、そのどちらも抱えながら進む。
不安定だからこそ、美しくて、リアルだ。
“Everyday is a winding road / I get a little bit closer / Everyday is a faded sign / I get a little bit closer to feeling fine”
毎日がくねくね曲がる道/少しずつ近づく
毎日が色あせたサイン/それでも少しずつ “大丈夫” に近づいていく
色あせた標識は、かつての指針──でも今は朽ちかけている。
それでも歩きつづける意味。
“感じること” を忘れずに、自分なりの道を行くという決意。
“I’ve been swimmin’ in a sea of anarchy / I’ve been livin’ on coffee and nicotine / I’ve been wonderin’ if all the things I’ve seen were ever real”
無秩序の海を泳いできた/コーヒーとニコチンで生き延び/見たものが本当だったのか、考え続けていた
若さ、焦燥、逃避、虚無——
その中で “何が本物か?” を自問する。
Sheryl の歌声は、その問いをそっと抱きしめてくれるようだ。
■ 音楽的特徴:ロードムービーのBGMのようなサウンド
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中庸のテンポ(ややゆったりめ)と、ほどよくスウィングするリズム
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アコースティックとエレクトリックが溶け合うギターワーク
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Hammond オルガン/ハーモニウムが織りなす朴訥な温かみ
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Sheryl Crow 自身のベース、そしてボーカルの懐深さ
これらの要素が合わさって、
“窓を開けて走るロードトリップ” の空気感と、
“揺れと移動”の中にある不安定さ、そして “希望の隙間” を同時に鳴らす。
この曲は、どこか郡を抜ける田舎道のBGMでもあれば、
都会の夜明け前のドライブにも、
旅行鞄を抱えたままのあの朝にも、
――どんな場面にもそっと似合う。
■ 背景と評価:1996年の時代に鳴らされた“普遍の歌”
“Everyday Is a Winding Road” は、1996年11月にシングルとしてリリースされ、
アメリカで Billboard Hot 100 の11位、UKシングルチャートで12位を記録。
さらに、カナダではチャートNo.1にもなった。
多くのヒット曲が溢れた90年代にあって、
この曲の持つ“やさしさと揺らぎ”は、
たぶん多くの人の生活と旅の風景にそっと溶け込んだのだろう。
また、Sheryl Crow が自らプロデュースしている点にも注目したい。
大勢のディレクターの手を借りず、“自分の声と感覚だけ”で世界を形作ろうとした強さが、この曲にはある。
■ なぜ今改めてこの歌に耳を傾けるのか
今、歳を重ねてから聴くと、
若い頃には見えなかった “曲がり角” の意味、自分の迷い、旅の価値、関係性の複雑さ、そのあたりが理解できて胸に染みる。
“Everyday Is a Winding Road” は、
青春の記憶や苦さだけでなく、
大人になってからの希望や、
まだ見ぬ未来へのゆらぎまでも包み込む。
だから──
車の窓を開けて、風を受けながら、
あるいは夜のベランダで、
この曲をもう一度、じっくり聴いてみてほしい。
どこか遠くでもよい。
道は続いている。
そしてきっと、また少し “前” に近づける——
そんな気持ちを思い出させてくれるから。

