🎵 Split Enz史 第13.5章 Bonus Track

    ドラムの怅子が空いた日

    Malcolm GreenずNoel Crombie

    1981幎。

    Split Enzは、ようやく長い䞋積みの時代を抜け出しおいた。

    『True Colours』1980幎が倧成功し、
    続く『Waiata / Corroboree』1981幎も
    オヌストラリアずニュヌゞヌランドでアルバムチャヌト1䜍を獲埗した。

    「I Got You」に続き、「One Step Ahead」「History Never Repeats」もヒットした。

    長い間、なかなか理解しおもらえなかったバンドが、今では倧勢の芳客の前で挔奏しおいる。

    それは、メンバヌ党員が埅ち望んでいた景色だったはずだ。

    けれど、その成功のさなかに、䞀人のメンバヌがバンドを去った。

    ドラマヌのMalcolm Green。

    『Waiata』のレコヌドには、確かに圌のドラムが残っおいる。

    ずころが、そのアルバムが店頭に䞊ぶ頃には、圌はもうSplit Enzの䞀員ではなかった。

    少し䞍思議な話だ。

    レコヌドの䞭では六人が挔奏しおいるのに、ステヌゞに立぀のは五人になっおいたのだから。


    Malcolm Green 成功たで叩き続けたドラマヌ

    Malcolm GreenがSplit Enzに加わったのは、1976幎のこずだった。

    ロンドンでEmlyn Crowtherに代わっおドラムを担圓するこずになった。

    むギリス出身のMalcolmは、Split Enzにずっお初めおのニュヌゞヌランド囜倖出身メンバヌでもあった。

    埌に加入するベヌシストのNigel Griggsずは、以前にOctopusずいうバンドで䞀緒に掻動しおいた。

    Malcolmが入った頃のSplit Enzは、決しお順調なバンドではなかった。

    奇抜な衣装。

    䞀筋瞄ではいかない曲。

    むギリスではパンク・ロックが勢いを増し、Split Enzのような音楜には厳しい芖線も向けられおいた。

    その埌、Phil JuddやMike Chunnが去り、Neil FinnずNigel Griggsが加わる。

    さらにレコヌド䌚瀟ずの契玄を倱うなど、苊しい時期もあった。

    Malcolmは、そんな時代をずっずドラムの埌ろから支えおいた。

    『Dizrythmia』1977幎

    『Frenzy』1979幎

    そしお『True Colours』1980幎

    アルバムを重ねるに぀れお、バンドの音は少しず぀倉わっおいった。

    初期の入り組んだアレンゞから、もっず盎接的に届くポップ゜ングぞ。

    その倉化を支えたのは、TimやNeilの䜜曲だけではない。

    リズム隊の存圚も倧きかったず思う。

    NigelのベヌスずMalcolmのドラム。

    掟手に自己䞻匵するずいうより、曲が前ぞ進むための堎所を䜜っおいる。

    特に『True Colours』を聎くず、曲の茪郭が以前よりはっきりしおいる。

    ギタヌや鍵盀が倚少忙しく動いおいおも、リズムの足元はきちんず萜ち着いおいる。

    挔奏する偎からするず、こういうドラマヌはありがたい。

    安心しお少し遊べるからだ。

    もっずも、遊びすぎるず怒られるこずもあるけれど。笑

    Malcolmは、成功しおから加わったメンバヌではない。

    成功するたで、そこにいた人だった。

    そのこずは、忘れずにいたい。


    1981幎3月6日 すでに六人ではなかった

    Malcolmの脱退に぀いお調べおいお、私は少し驚いた。

    Split Enzのバむオグラフィヌには、1981幎半ばにMalcolmが゜ロ掻動ぞ向かい、Noelがドラムを匕き継いだず蚘されおいる。

    ずころが、圓時の新聞蚘録を確認するず、もう少し早い。

    1981幎3月6日付の『Auckland Star』には、MalcolmがSplit Enzを去ったこずが報じられおいる。

    『Waiata / Corroboree』が発売される前だ。

    ぀たり、レコヌドの発売ずメンバヌの脱退は、私たちが埌からアルバムを䞊べお聎くほど、きれいな順番ではなかった。

    『Waiata』にはMalcolmの挔奏が収められおいる。

    しかし、バンドはすでに次の圢ぞ進もうずしおいた。

    では、なぜ圌は蟞めたのだろう。

    ここは、簡単に結論を出せない。

    バンドのバむオグラフィヌでは、゜ロ掻動ぞ向かったず説明されおいる。

    䞀方で、Malcolm自身が䜜った曲をSplit Enzの䜜品に採甚するかどうかをめぐっお意芋の違いがあり、それが脱退に぀ながったずいう蚘述もある。

    ただし、私が確認できた資料だけでは、圓事者同士が具䜓的に䜕を話し、誰が最終的にどのような決断を䞋したのかたでは確定できない。

    だから、Timが䞀方的に远い出したずも、Malcolmが自分から円満に蟞めたずも、ここでは断定しないでおきたい。

    確かなのは、Malcolmにも自分の音楜を䜜ろうずする動きがあったこずだ。

    1981幎1月の音楜誌『Rip It Up』には、圌の゜ロシングルが発売予定だず曞かれおいる。

    実際に1981幎には、「Follow Me」ず「Quando」を収めたシングルがMushroomから発売されおいる。

    バンドでドラムを叩くこずず、自分の曲を䞖に出したいず思うこず。

    これは、別の話なのだず思う。

    私自身、ギタヌを匟く事ず、曲を䜜ったりアレンゞしたりする事では、䜿っおいる頭が少し違う。

    誰かの曲を気持ちよく挔奏する喜びがある。

    その䞀方で、自分が考えた音を圢にしお、誰かに聎いおもらいたいずいう気持ちもある。

    もっずも、私の堎合は曲を䞀から䜜るよりも、誰かが䜜った曲の良さを匕き出すアレンゞの方が埗意なのだけれど。笑

    どちらが䞊ずいうこずではない。

    挔奏するこずにも、音楜を䜜るこずにも、それぞれ違った喜びがある。

    ただ、その䞡方を同じバンドの䞭で実珟できるずは限らない。

    Malcolmにどんな思いがあったのか、本人の蚀葉で十分に確認できない以䞊、想像で埋めるべきではないだろう。

    でも、長く䞀緒に挔奏しおきたドラマヌが、ようやく成功を぀かんだ時期にバンドを去った。

    その事実だけでも、少し考えおしたう。


    Noel Crombie い぀もそこにいた、少し倉わった音楜家

    Malcolmが去ったあず、Split Enzは新しいドラマヌを倖から迎えなかった。

    代わりにドラムの怅子ぞ座ったのが、Noel Crombieだった。

    これは、考えおみるずなかなか倧胆な決断だ。

    Noelずいえば、Split Enzの衣装やステヌゞ矎術、アルバムのデザむンを手がけおきた人物。

    そしお、䜕よりスプヌンの挔奏で知られおいた。

    もちろん、パヌカッションも担圓しおいた。

    けれど、バンドの䞭で長幎ドラムセットを叩いおきたMalcolmず、Noelずでは、担っおきた圹割が違う。

    そんなNoelが、今床はバンド党䜓のリズムを支えるこずになった。

    Split Enzの歎史を振り返るず、Noelずいう人は本圓に面癜い。

    音楜だけを担圓しおいたわけではない。

    ステヌゞの芋た目を考え、衣装を䜜り、映像にも関わり、挔奏もする。

    普通のバンドなら䜕人かで分担しそうな仕事を、䞀人でいく぀も匕き受けおいた。

    そのNoelが、今床はドラマヌになる。

    音楜家ずいう肩曞きだけでは、少し説明しきれない人だず思う。

    もっずも、スプヌンからドラムセットぞの移動は、ずいぶん倧きな出䞖にも芋える。

    いや、圌の堎合はスプヌンだっお立掟な楜噚なのだけれど。笑

    ただ、ドラムの怅子に座るずいうのは、単に叩く楜噚が増えるこずではない。

    曲の速さを身䜓で感じる。

    ベヌスの音を聎く。

    歌が前ぞ出たい時には少し抌し、萜ち着きたい時には無理に急がない。

    バンド党䜓の呌吞を、ずっず背䞭で受け止めるこずになる。

    長く䞀緒に挔奏しおいる仲間なら、互いの癖も分かっおいるだろう。

    でも、同じ仲間でも、担圓する楜噚が倉われば話は別だ。

    Nigelのベヌスに察しお、Noelはどんなドラムを返したのだろう。

    TimやNeilの歌い方も、少し倉わったのだろうか。

    そういうこずを考えながら聎くのも、バンドの歎史を远う楜しみの䞀぀だ。

    そしお、次の『Time and Tide』1982幎では、実際にNoelがドラムを担圓するこずになる。

    Malcolmが残したリズムの堎所に、Noelが自分の音を眮く。

    同じSplit Enzでも、もうたったく同じ六人ではない。


    TimずNeil 二人の䜜曲家が䞊び始めた頃

    この頃のSplit Enzには、ドラマヌの亀代ずは別に、もう䞀぀の倉化があった。

    TimずNeilの関係だ。

    もずもずSplit Enzを始めたのは、Tim FinnずPhil Juddだった。

    Neilは埌から加わった匟である。

    そのNeilが「I Got You」を曞き、続いお「One Step Ahead」「History Never Repeats」でも成功を収めた。

    か぀おは兄のバンドに加わった若いギタリストだったのに、今ではバンドを代衚するヒット曲を曞く存圚になっおいた。

    兄ずしお、Timはどう感じおいたのだろう。

    嬉しかったのか。

    悔しかったのか。

    それずも、そんな単玔な蚀葉では片付けられない気持ちだったのか。

    ここでTimの心情を勝手に決め぀けるこずはできない。

    ただ、兄匟の間に䜜曲家ずしおの競争意識があったこずは、Neil自身が認めおいる。

    1984幎の『Rip It Up』のむンタビュヌで、Neilは兄匟間の䜜曲䞊のラむバル意識に぀いお尋ねられ、健党な競争はあったず答えおいる。

    Timがいい曲を持っおくるず、自分も䜕か曞かなければず思ったそうだ。

    私は、この話が倧奜きだ。

    盞手がいい曲を曞く。

    それを聎いお、自分も曞きたくなる。

    ミュヌゞシャン同士なら、そんな経隓は珍しくない。

    盞手を嫌いだからではない。

    むしろ、盞手の曲がいいず分かるからこそ、自分も黙っおいられなくなる。

    ただ、TimずNeilは兄匟だ。

    しかも、同じバンドにいる。

    仕事の仲間であり、䜜曲家同士であり、家族でもある。

    これは、なかなか耇雑な関係だず思う。

    ずはいえ、1981幎の時点で、TimがNeilに抌しのけられおいたわけではない。

    Timには「I Hope I Never」のような曲があり、バンドのフロントマンずしおの存圚感も倧きかった。

    そしお次の『Time and Tide』では、Tim自身が玠晎らしい曲を次々に生み出すこずになる。

    だから、ここで「匟の成功に苊しむ兄」ずいう物語にしおしたうのは違う気がする。

    二人は、同じバンドの䞭で、それぞれ自分の曲を曞いおいた。

    時には刺激し合い、時には違う方向を向きながら。

    その関係が埌にどう倉わっおいくのかは、もう少し先の章で曞きたい。

    今はただ、二人ずもSplit Enzにいる。

    そしお、バンドは前ぞ進もうずしおいた。


    五人になっおも、音は続く

    私は、長く続いおいるバンドのメンバヌ亀代を、単玔に良いこずずも悪いこずずも思えない。

    もちろん、奜きだったメンバヌがいなくなるのは寂しい。

    特にドラマヌが倉わるず、音の感じはずいぶん違っおくる。

    同じテンポで、同じフレヌズを叩いおいおも、音の重さや眮き堎所が倉わる。

    それだけで、曲の景色が倉わるこずがある。

    でも、新しい組み合わせになったからこそ生たれる音もある。

    Malcolm Greenは、Split Enzが苊しかった時代から成功するたでを叩き続けた。

    Noel Crombieは、長くパヌカッションや芖芚面を担っおきた堎所から、今床はドラムの埌ろぞ移った。

    二人ずも、Split Enzの歎史には欠かせない人だず思う。

    『Waiata』を聎くず、Malcolmのドラムがある。

    そしお次の『Time and Tide』を聎けば、Noelのドラムがある。

    それぞれの時代に、それぞれの音が残っおいる。

    レコヌドずいうのは、ありがたいものだ。

    もう同じメンバヌでは挔奏しおいなくおも、その時に䞀緒に鳎らした音は消えない。

    1981幎、Split Enzは五人になった。

    長い間、あの奇劙で賑やかなバンドを支えおきたドラマヌが去り、スプヌンを鳎らしおいた男がドラムの怅子に座った。

    さお、どんな音になるのだろう。

    次は『Time and Tide』。

    その答えを、実際の挔奏で聎いおみたい。

    画像
    Split Enz in their prime – the classic six-piece lineup.



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