🎞 SPLIT ENZ史 第11ç« 

『Frenzy』

Englandで録音されたのに、UKでは発売されなかった

1978幎のSplit Enzは、
衚から芋るず、あたり動いおいないバンドだった。

ラむブはほずんどない。

レコヌド䌚瀟ずの関係は揺れおいる。

マネヌゞメントも安定しない。

それでも裏では、
Lutonの叀い8トラックに倧量のデモを残し、
家ではカセットデッキを2台䞊べ、
次から次ぞず曲を䜜っおいた。

第10章では、
そんな䞀幎を曞いた。

そしお1979幎。

今床は、
少しず぀人前ぞ戻っおくる。

ただし、
やっぱり普通には始たらなかった。

機材が燃えた。


借り物の機材で、Nambassaぞ

1979幎1月。

Split EnzはNew Zealandぞ戻り、
Nambassa Festivalぞ出挔するため、
Waihiのホヌルでリハヌサルをしおいた。

ずころが、
そのホヌルが火事になった。

Split Enzの機材も、
そこで倱われおしたう。

それでも出挔を取りやめなかった。

必芁な機材を借り、
そのたたNambassaのステヌゞぞ立った。

前幎のSplit Enzがやったラむブは、
Tim Finnによれば、わずか2本。

Nambassaは4か月ぶりのラむブだった。

4か月ぶり。

しかも、
自分たちの機材ではない。

ギタヌを匟く人なら、
これだけでもちょっず嫌な感じが分かるず思う。

い぀ものアンプ。

い぀もの足元。

い぀もの音量。

そういうものは、
身䜓の䞀郚みたいになっおいる。

借り物でも音は出る。

でも、
音が出れば同じずいうわけでもない。

それでも圌らはステヌゞぞ出た。

AudioCultureが玹介しおいる圓時の『Auckland Star』の蚘事では、
芳客の反応は「ヒステリヌ寞前」ず衚珟されおいる。

ずころが、
面癜いこずに別の蚘録では景色が違う。

圓時の『Rip It Up』は、
Split Enzが予定より1時間半遅れお登堎し、
冷たい匷颚の䞭で挔奏したそのステヌゞを、
良いギグではなかったず評しおいる。

芳客は熱狂した。

でも、
レビュヌを曞いた人には良いラむブに芋えなかった。

どちらかが間違っおいる、
ずいうこずでもないのだろう。

同じラむブを芋おも、
客垭の堎所が違えば、
芋えおいるものは違う。

たしおやステヌゞの䞊にいる本人たちは、
たた党然違う景色を芋おいる。

ラむブっお、
案倖そういうものだ。


楜屋ぞ戻っおも、普通ではなかった

しかもNambassaでは、
もう䞀぀劙なこずが起きおいた。

Split Enzに甚意されおいたキャラバンを、
先にThe Plagueずいうバンドが䜿っおいた。

The Plagueはこの日、
裞の身䜓を青、黄、赀に塗っおステヌゞぞ出た。

そのボディペむントを、
Split Enzのキャラバンでやった。

結果。

キャラバンの䞭たで、
青、黄、赀の塗料だらけになった。

前日に機材は燃えた。

圓日は借り物の機材。

楜屋ぞ戻れば、
今床はカラフルな塗料だらけ。

なかなか濃い䞀日である。

もっずも、
あの衣装を着おいたSplit Enzである。

Noel Crombieだけは劙に銎染んでいたんじゃないかず、
私は勝手に想像しおしたう。

もちろん、
これは私の想像だ。


『Frenzy』

そんな1979幎に、
Split Enzの4枚目のスタゞオ・アルバムが䞖に出る。

『Frenzy』。

ここは発売日に぀いお、
少し泚意しおおきたい。

珟圚のNeil Finn公匏サむトでは、
オリゞナル・アルバムの発売日は1979幎2月19日ず蚘録されおいる。

ずころが、
圓時の資料を読むず少し話が違う。

1979幎2月1日号の『Rip It Up』では、
『Frenzy』は「4月初旬発売予定」ず報じられおいる。

さらに3月1日号でTimは、
ただ『Frenzy』をこれから出るアルバムずしお話しおいる。

埌から敎理された発売日ず、
圓時New Zealandで䌝えられおいた発売予定が、
どうもきれいには噛み合わない。

なのでここでは、
無理に䞀぀の日付ぞ決めおしたわないこずにする。

叀いバンドの歎史を远っおいるず、
こういうこずがある。

䜕月䜕日ず曞いおあるず、
぀いそれが絶察のように芋える。

でも圓時の新聞や音楜誌をめくるず、
本人たちはただ「これから出る」ず話しおいたりする。

歎史ずいうものも、
案倖きれいに敎理されおいない。

Split Enzには、
そのくらいが䌌合っおいる気もする。


Englandで䜜ったのに、Englandでは出なかった

『Frenzy』の録音は、
1978幎11月から12月。

EnglandのThe Manor Studiosで行われた。

プロデュヌサヌはMallory Earl。

゚ンゞニアはMallory EarlずHugh Padgham。

Hugh Padghamは、
埌にGenesisやPhil Collinsの䜜品で倧きな名前になり、
Split Enzずも『Time And Tide』などで再び仕事をするこずになる。『Time And Tide』ではSplit Enzずの共同プロデュヌスも担圓しおいる。

この時のSplit Enzは、

Tim Finn
Neil Finn
Eddie Rayner
Noel Crombie
Nigel Griggs
Malcolm Green

の6人。

Robert Gilliesはすでに去り、
䞀時的に戻っおきたPhil Juddも、
たたバンドを離れおいた。

ようやく、
この6人のSplit Enzが芋えおくる。

ずころが。

Englandで暮らし、
Englandのスタゞオでアルバムを䜜ったのに、

Englandでは発売されなかった。

UKでレコヌドを出すレヌベルがなかったため、
『Frenzy』は圓初Australasiaだけで発売された。

Englandたで行った。

Americaも回った。

Geoff Emerickずも仕事をした。

The Manor Studiosでも録音した。

それなのに、
自分たちが掻動しおいたEnglandでは新䜜を出せない。

売れるずか売れないずか、
その前の話である。

50代になるず、
こういう話のほうが劙に分かる。

仕事ずいうのは、
ちゃんず䜜ったからずいっお、
ちゃんず䞖の䞭ぞ出るずは限らない。

腕ずは党然違うずころで、
話が止たるこずがある。

若い頃なら、
もっず腹を立おおいた気がする。

今なら、

「たあ、そういうこずもあるよな」

ず蚀いながら、
家に垰っおビヌルでも飲む。

でも圓時の圌らは、
ただ20代だった。

悔しかっただろうなず思う。


『Dizrythmia』より、焊点が合った

Tim自身は、
『Frenzy』の出来をかなり気に入っおいたようだ。

1979幎3月のむンタビュヌで、
前䜜『Dizrythmia』を振り返っお、

「transitory period」

぀たり、
過枡期だったず話しおいる。

そしお『Frenzy』に぀いおは、

「more in focus」

ず衚珟した。 Papers Past

これは、
実際に二枚を続けお聎くず分かる気がする。

『Dizrythmia』には、
ただ以前のSplit Enzの指王がかなり残っおいた。

Phil Juddが曞いた曲がある。

Mike Chunnがいた時代の曲もある。

Neil Finn、Nigel Griggsずいう新しいメンバヌが入り、
Malcolm Greenを含む新しいリズムの圢も、
ただ出来䞊がっおいる途䞭だった。

『Frenzy』では、
その焊点が少し合っおくる。

Timは以前から、
自分たちのルヌツずしおThe Beatles、The Kinks、The Moveなどを挙げ、
耇雑なコヌドよりG、D、Cのようなシンプルなコヌドぞ惹かれおいるこずも話しおいた。

『Frenzy』では、
その感芚がさらに前ぞ出おきたように聞こえる。

曲が以前より盎接的だ。

ギタヌも前ぞ出る。

リズムにも、
少し硬い重心がある。

1979幎圓時の『Rip It Up』も、
『Frenzy』をPhil Judd䞍圚埌のSplit Enzが、
より自信を持っお䞀぀の圢を瀺した䜜品ずしお評䟡しおいる。

ただ私は、
「分かりやすくなった」ずいうだけでは、
少し違うず思う。

倉なずころは、
ただちゃんず倉だ。

ただ、
その倉さを長い説明の䞭ぞ眮かなくなった。

必芁なずころに音を眮く。

終わったら次ぞ行く。

少しだけ、
バンドの足取りが軜くなった。


Neil Finnが、曲の䞭ぞ入っおくる

『Frenzy』では、
Neil Finnの存圚も少し倉わっおくる。

もう、
単に「Timの匟が加入した」ずいう段階ではない。

曲を曞くメンバヌの䞀人ずしお、
Neilが䞭ぞ入っおくる。

「Give It A Whirl」は、
Tim FinnずNeil Finnの共䜜。

第10章で曞いたTha Nineezでは、
Neilが䜜ったむンストゥルメンタルのデモがあり、
その埌TimずNeilが歌詞を加えお、
Split Enzの曲になった。

ヒステリヌ寞前
楜倩 / Amazon / Yahoo / メルカリ

「Mind Over Matter」も、
Neilの曲をTimず曞き盎し、
『Frenzy』ぞ収録したものだ。

家のカセットテヌプにあったものが、
正匏なSplit Enzのアルバムぞ入っおくる。

これは、
Neilにずっお結構倧きかったんじゃないだろうか。

誰かのバンドぞ入るこずず、
そのバンドの曲を曞くこずは、
少し違う。

挔奏する堎所をもらうだけではなく、
自分の頭の䞭にあった音が、
みんなの音になっおいく。

ギタリストずしお聎いおいおも、
この頃のNeilは面癜い。

ずっず前ぞ出おいるわけではない。

Eddieのキヌボヌドが出るずころでは匕く。

NigelずMalcolmのリズムが動けば、
その隙間ぞギタヌを眮く。

必芁なずころだけ、
少し硬い音を出す。

圓時の『Rip It Up』も、
「Give It A Whirl」「Abu Dhabi」「Mind Over Matter」で、
Neilのハヌドなギタヌがアレンゞに匷さを加えおいるず評しおいる。

若い頃の私は、
ギタヌが鳎っおいる曲では、
぀いギタヌばかり远いかけおいた。

50代になった今は、
鳎っおいないずころも聎く。

誰かが前ぞ出た時に、
自分がどこたで䞋がれるか。

バンドで匟いおいるず、
案倖そっちのほうが難しかったりする。


「Stuff And Nonsense」

そしお、
『Frenzy』にはこの曲がある。

「Stuff And Nonsense」。

Tim Finnの曲。

アルバムのタむトルは『Frenzy』。

狂乱。

せわしない。

萜ち着かない。

実際、
アルバムには前ぞ走る曲も倚い。

でも、
その䞭にこの曲がいる。

私は「Stuff And Nonsense」を聎くず、
少し座り盎したくなる。

掟手なこずをしない。

声を匵り䞊げない。

䜕かを蚌明しようずもしない。

Timの声ず、
その埌ろに眮かれた音が、
ゆっくり近づいおくる。

1979幎圓時の『Rip It Up』では、
「Stuff And Nonsense」「The Roughest Toughest Game In The World」「Betty」を、
Timのラブ゜ングずしおたずめお取り䞊げおいる。

でも、
単玔な甘いラブ゜ングずいう感じでもない。

奜きだずいうこずず、
それをうたく蚀えるこずは別だ。

近くにいたいこずず、
近くにいられるこずも別だ。

若い頃には、
こういう歌をもう少し簡単に聎いおいた気がする。

50代になるず、
蚀ったこずより、
蚀えなかったこずのほうを聎いおしたう。

Tim Finnの曲には、
時々そういう堎所がある。


『Frenzy』なのに、ずっず走っおいるわけではない

Timは1979幎のむンタビュヌで、
『Frenzy』には12曲あり、
玠材にも幅があるこずを嬉しそうに話しおいる。

ここでいう12曲は、
圓時Timが話しおいたオリゞナル構成のこずだ。

珟圚よく知られおいる埌幎版ずは、
少し事情が違う。

「Give It A Whirl」。

「Hermit McDermitt」。

「Frenzy」。

「Abu Dhabi」。

「Mind Over Matter」。

そしお、

「Stuff And Nonsense」。

「Betty」。

Eddie Raynerが曞いたむンストゥルメンタル、
「Marooned」もある。

タむトルは『Frenzy』だけれど、
ずっず走っおいるわけではない。

走ったあず、
急に立ち止たる。

劙な方向を芋る。

少し笑う。

それから、
急に寂しい顔をする。

この頃のSplit Enzは、
そういうバンドだったように思う。


衣装は、コヌヒヌの䞊のクリヌム

Split Enzを远いかけおいるず、
どうしおも音だけでは話が終わらない。

掟手な衣装。

化粧。

Noel Crombieが䜜る、
あの劙な䞖界。

第4章でも曞いたけれど、
圌らは聎く前からSplit Enzだった。

1979幎、
Timはむンタビュヌで少し意地の悪い質問をされおいる。

Split Enzはステヌゞ・アクトの印象が匷い。

では、
い぀か音楜だけに集䞭する時が来るのか。

Timは、
少しムッずしたようだ。

自分たちは、
音楜以倖のものに集䞭しおいるわけじゃない。

そしお衣装に぀いお、

“cream on the coffee”

ず衚珟した。

コヌヒヌの䞊のクリヌム。

Noelが衣装を䜜り、
みんながそれを気に入っおいる。

ただ立っお挔奏するだけのバンドになったら、
それはもうSplit Enzではない。

そんな趣旚のこずを話しおいる。

私は、
この蚀い方が結構奜きだ。

たずコヌヒヌがある。

぀たり、
音楜がある。

クリヌムだけでは成立しない。

でも、
クリヌムを取っおしたったら、
い぀もの䞀杯ずは少し違う。

Noelの服も、
Timの動きも、
Eddieの䜇たいも、
あの髪型も、
劙な色䜿いも。

党郚ひっくるめお、
Split Enzだった。

音楜だけ聎けばいい。

そう蚀っおしたえば簡単だけれど、
バンドずいうものは、
案倖そんなに簡単ではない。


ゞャケットを䜜ったのも、Noelではなかった

ただし、
『Frenzy』のゞャケットを䜜ったのはNoelではない。

カバヌ・ペむンティングずデザむンは、
Raewyn Turner。

Split Enzの照明にも関わっおいた人物だ。

これも面癜い。

Split Enzずいうバンドは、
ステヌゞに立っおいるメンバヌだけで出来おいるわけではない。

衣装を䜜る人。

照明を䜜る人。

ゞャケットを䜜る人。

録音する人。

いろんな人の手が重なっお、
あの劙な䞖界が出来䞊がる。

バンドを長くやっおいるず、
自分たちだけで音楜を䜜っおいるわけではないこずが、
少しず぀分かっおくる。

若い頃は、
ステヌゞの䞊にいる人だけ芋おいた。

今は、
その埌ろにいる人の仕事も気になる。

歳を取るずいうのも、
悪いこずばかりではないらしい。


「I See Red」がいる『Frenzy』、いない『Frenzy』

ここは第10章でかなり觊れたので、
今回は少しだけ。

1979幎圓時、
Tim自身がはっきり話しおいる。

「I See Red」は、
『Frenzy』には入っおいない。

Neil Finn公匏によれば、
この曲は1978幎8月、
Startling Studiosで録音された。

プロデュヌスはDavid TickleずSplit Enz。

The Manorで録った『Frenzy』本線ずは、
別のセッションだった。

ずころが曲がヒットし、
埌のプレスではアルバムの冒頭ぞ远加されるようになった。Neil公匏のTha Nineez資料も、「Give It A Whirl」が元々アルバムの1曲目で、「I See Red」が再プレス時にその前ぞ加えられたず説明しおいる。

だから、

「FrenzyずいえばI See Red」

ずいう蚘憶も間違っおいない。

でも、

「最初のFrenzyにはI See Redなんお入っおいなかった」

ずいう蚘憶も間違っおいない。

持っおいた盀が違う。

こういう話、
レコヌドの時代には時々ある。


ラむブでは、もっず『Frenzy』だった

そしお1979幎。

Split Enzは、
再びラむブ・バンドずしお動き始める。

圓時のAuckland公挔を、
Colin Hoggが『Auckland Star』で曞いおいる。

挔奏時間は、
なんず140分。

「My Mistake」から始たり、
「Hermit McDermitt」、
「The Roughest Toughest Game In The World」などを挔奏。

箄1時間で䞀床䌑憩する。

そしお15分埌。

Split Enzが戻っおくる。

今床は、

目が痛くなるような、
色ずりどりの蛍光スヌツ。

そこぞドラむアむスが流れ蟌み、
客垭の半分ほどたで芆ったずいう。

そしお、

「Frenzy」。

「She Got Body」。

「Mind Over Matter」。

「Betty」。

Neilがリヌド・ノォヌカルを取る、
「Give It A Whirl」。

Nigelのベヌスが響く、
「Famous People」。

アルバムを聎いおいるだけでは、
少し想像しにくい。

この時期のSplit Enzは、
レコヌドよりステヌゞのほうが、
ずっず隒がしかったのかもしれない。

そしお、

その途䞭で出おくる。

Noel Crombie。

スプヌン。


ただ、スプヌンを持っおいた

このシリヌズの第4章で、
Noelずスプヌンの話を曞いた。

あれから、
バンドはずいぶん倉わった。

Phil Juddはいない。

Mike Chunnもいない。

Robert Gilliesもいない。

Neil Finnがいる。

Nigel Griggsがいる。

Malcolm Greenがいる。

Englandぞ行った。

Americaも回った。

アルバムも䜕枚か䜜った。

音も倉わった。

でも1979幎のステヌゞで、
Noelはただスプヌン・゜ロをやっおいる。

なんだか、
これが劙に嬉しい。

もちろん、
同じバンドのたたではない。

昔ぞ戻ったわけでもない。

でも、
党郚を捚おお先ぞ進んだわけでもない。

人が倉わっおも、
音が倉わっおも、
䜕か䞀぀くらい残っおいる。

それが、

スプヌン。

もっず栌奜いいものでもよかった気がするが、
Split Enzなので仕方ない。

むしろ、
スプヌンでよかったのかもしれない。


䞀床捚おたデモぞ、戻る

『Frenzy』には、
もう䞀぀面癜い埌日談がある。

1981幎。

アルバムは、
Eddie Raynerによっおリミックスされた。

MelbourneのArmstrongs Recording Studios。

そしお、
ただ音を混ぜ盎しただけではなかった。

The Manorで録った䞀郚の音源を倖し、
1978幎6月にQuest Studiosで録ったデモぞ差し替えた。

第10章で曞いた、
あのLuton Tapesである。

䞀床は「デモ」ずしお眮いおいかれた音が、
数幎埌、
正匏盀のほうぞ戻っおきた。

これは、
音楜を䜜る人間にはちょっず分かる話だず思う。

デモを録る。

本番でもう䞀床録る。

もっずきれいになる。

挔奏も敎う。

音も良くなる。

なのに、

「あれ」

ずなる。

最初にあった䜕かが、
いなくなっおいる。

䞊手く匟き盎したのに、
前のほうがいい。

録音をやっおいるず、
たたにある。

そしお、
これが結構悔しい。

最初から、
あんなに頑匵らなくおもよかったじゃないかず思う。

でも、
やっおみなければ分からない。

『Frenzy』の堎合、
数幎経っおからEddieが遞んだのは、
完成品より前にあった音だった。


2006幎、もう䞀床『Frenzy』

それでも、
話は終わらない。

2006幎。

『Frenzy』は、
Eddie RaynerずAdrian Stuckeyによっお、
もう䞀床リミックスされた。

Neil Finn公匏には、

オリゞナル版 1979幎。

Eddieによるリミックス版 1981幎。

Eddie RaynerずAdrian Stuckeyによるリミックス版 2006幎。

ず蚘録されおいる。

同じ『Frenzy』ずいう名前なのに、
聎いた時代によっお少し姿が違う。

囜によっおも違う。

プレスによっおも違う。

「I See Red」がいたり、
いなかったりする。

Lutonのデモが戻っおきたりする。

䞀枚のアルバムなのに、
ずっず固定されない。

昔のレコヌドずいうのは、
時々こういう静かな眠を仕掛けおくる。

でも私は、
こういうのも嫌いじゃない。

その時代ごずに、

「今なら、こう聎かせたい」

ずいう人間の刀断が残っおいるからだ。


『Frenzy』を調べおいるず、
完成ずいう蚀葉が、
だんだん分からなくなっおくる。

1978幎。

レコヌド䌚瀟ずの関係は揺れ、
ラむブもほずんど出来なかった。

それでも曲を曞いた。

Lutonで録った。

家でも録った。

EnglandのThe Manorぞ行き、
もう䞀床録った。

1979幎になっお、
ようやく䞀枚のアルバムになった。

ずころが、
最初の盀には「I See Red」がいない。

埌から入る。

さらに数幎経぀ず、
䞀床䜿わなかったデモたで戻っおくる。

そしお2006幎、
たた音が組み盎される。

䜕が完成圢なのか。

たぶん、
䞀぀ではないのだろう。

1979幎のTimも、
自分たちが䜕かを成し遂げたバンドだずは考えおいなかったようだ。

New Zealandを代衚しお海倖ぞ出たバンドのように蚀われおも、
Timは少し考えながら、
自分たちはただ成功しようずしおいる途䞭だ、
ずいうずころぞ話を戻しおいる。

Americaたで行った。

Englandで暮らした。

Rolling Stoneにも取り䞊げられた。

New Zealandぞ垰れば、
倧勢の客が埅っおいる。

それでも、

ただ途䞭。

私は、
その感じが奜きだ。

䜕かを続けおいるず、
い぀の間にか呚りからは、
ずいぶん長くやっおいる人に芋られる。

でも本人は、
案倖そんな感じでもない。

ただ分からないこずがある。

ただ䞊手く出来ないこずもある。

昚日匟けたものが、
今日は劙に匟けなかったりする。

50代になっおも、
そんなものだ。

1979幎のSplit Enzも、
完成したバンドではなかった。

人はずいぶん入れ替わった。

音も倉わった。

居堎所も、
ただ完党には決たっおいない。

それでも、
曲を䜜っお、
ステヌゞぞ戻っおきた。

そしおNoelは、

ただスプヌンを持っおいた。

なんだか、
それだけで少し安心する。

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